2006年01月15日

格付制度

11日の日記で紹介した1月10日の日経新聞の記事では、原発を推進するために、地震などによる運転休止時の損失の補償や、電力を環境への影響度で格付する制度の導入や、複数の電力会社による共同開発の支援などが検討されるということが報じられていました。

ここまで読んで、疑問を感じた人もいるかもしれません。「原発の推進」と「電力を環境への影響度で格付する制度の導入」は相反するのではないか?そんなことをしたら逆効果ではないか?ってね。しかし、この記事を書いた記者はそのような疑問を感じなかったのか、すぐ後に自分の見解をこう書いています。

「原発で発電した電力の購入を企業に促すため、販売する電力を環境への影響度合いで格付けする制度の導入なども検討。原発は火力発電に比べて燃料の価格変動リスクが小さく、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の排出量が少なく、制度ができると高格付けが予想される。」

その疑問は、原発に対する認識の違いによって生じていました。僕も含めて疑問を感じた人の多くは「原発は環境への影響が大きい」と認識しており、記者を含めて疑問を感じなかった人の多くは「原発は環境への影響が小さい」と認識しているのでしょう。
その根拠として、記者は火力発電に対するメリットを2つ挙げています。しかし、1つ目のメリットとして挙げている「燃料の価格変動リスクが小さい」という点は、安全保障や安定供給という観点で見た場合のメリットであり、「原発は環境への影響が小さい」とする根拠にはなっていません。つまり、火力発電に対するメリットは、2つ目に挙げた「二酸化炭素(CO2)の排出量が少ない」という点のみです。
そして、僕がもっとも気になったのは、原発の環境への影響を論じるうえでは避けて通れないはずの「放射線が漏れたり放射性廃棄物が出る」ということを、避けて通ってしまっていたことです。原発のデメリットとして、誰もがまずはじめに思いつくであろうことがまったく触れられていないなんて、あまりにもおかしいよなぁ。。

なぜこんなことが起きるのか?日経新聞に電話で聞いたところ、「その記者は、独自に原発の環境への影響を調査したわけではなく、経済産業省の資料を参考にして記事を書いたのではないか」とのこと。原発の環境への影響については対立した2つの意見があるにもかかわらず、原発を推進している側の情報のみを参考にして記事を書いていたとすれば、それは国や電力会社が行っている偏った情報の普及活動に加担していることになります。まあ、今回話したのはその記者ではなくて問い合わせ窓口の担当者だったから、本当のところはわからないけど、でもこの記事を読めばそう思われても仕方ないだろうな。

この電力格付制度は、国民が「原発は環境への影響が小さい」と認識していることが前提となっているけど、実際には、そう認識している人は資源エネルギー庁が思っているほど多くはありません。それでも、これまでの国の原子力政策を見るかぎり、原発の「放射線が漏れたり放射性廃棄物が出る」という環境への影響は無視され、原発で作った電力が高格付けになってしまう可能性は高いです。だけど、もしもそうなって、原発で発電した電力を率先して購入する企業が出てきたら、、そんな企業は僕の中の企業格付では低格付けにしちゃうからね。
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